モンテッソーリ教育には大きく分けて5つの分野があります。
今回紹介するのが「算数教育」。3歳頃になると、物の多い少ない/大きい小さい/ものの形/数詞への興味が出てきます。これが数の敏感期。モンテッソーリ関連の書籍では、次のように解説されていました。
モンテッソーリの算数教育の特色は、前段階の感覚教育を基礎としたものであること、数を唱えることを排し、常に量から入っていくこと、数量と数詞の三者関係を重視していくこと等があげられます。魅力的な具体物を使いながら子どもは、数の世界の面白さに心を奪われていきます。
「モンテッソーリ教育 理論と実践」vol.4, P.1
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学生時代、私は数学が苦手でした。数学のことをほとんど理解できていなかったというのが正しいかもしれません。受験でも数学が必要だったので最低限の勉強はしていたつもりでしたが、なんとなく数学は「つまらないお勉強」の作業として処理していたように思います。
そんな数学の魅力をようやく知ることとなったのは、大学に入学してから。いまは亡き多木浩二氏が訳した「デザインの自然学」などの書籍を読み、自然界にはフィボナッチ数列や素数ゼミのような興味深い現象が存在し、人間はこうした身の回りの現象についてそれに限りなく近いレベルで読み解く作業が行える。そしてそこで数学という考え方が生きてくるのだということをようやく知ることとなったのです。
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そんななか月日は過ぎ、雑誌をぺらぺらとめくっていたときのこと。「プレジデントファミリー」の算数特集回であるページに目が釘付けになりました。
そこで紹介されていたのは、国内にあるモンテッソーリの小学校の様子でした。著作権の関係で写真を転載することはできないのですが、特集の扉ページに写っていたのは一人の男の子。手にしたノートに書かれているのは、ページいっぱいに描かれた大きな大きな立方体です。立方体には無数の線が縦横に書き込まれており、小さな立方体が幾重にも積み重なった集合体としての立方体が描かれていました。
5の累乗を表したその立方体の数、なんと100万個。ページをめくると「1,000,000」と「1」という数字の違いを体感できる数の位取りの教具まで出てきます。
「100万」という数字を見ただけでは大人の私でもそれがどのくらいの量であるのか具体的なイメージを持つことはできません。でも、ここで紹介されていた子どもたちは自分の目で100万と1という量の違いを認識し、その実体験を知として獲得していたのです。
このほかにも、円を分割した教具で分数を学んでいる子もいれば正十二面体に色を塗って楽しんでいる子、ビーズをボードに並べて約数を確認する子、図形を並べて隙間の面積を出そうと研究している子どもたちなど、「お勉強」として忌み嫌うのではなく、算数を興味の赴くままに楽しんでいる子どもたちの様子がとっても印象的でした。
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「こんな楽しくてダイナミックな算数教育、私も受けたかった……!」と思ったのは言うまでもありません(そしてそのモンテッソーリ小学校について調べてみると学費がべらぼうに高そうだったのでそっ閉じしたことも記しておきます…)。モンテッソーリ教育の算数、なんておもしろいんでしょう。我が家も上の子がちょうど3歳。このサイトでも今後算数教育について探究していけたらと思っています。