今回のテーマは「星」。まだ小さいうちは寝る時間も早く、夜空を見上げる経験はなかなかできるものではありませんよね……。でも絵本があれば、一日のなかに「夜」があること、夜には星が見えること、私たちが住んでいる地球も星のひとつであること、宇宙という大きな大きな空間がそらには広がっていることなど、家という限られた空間から、宇宙というダイナミックな空間へと思いを馳せ、追体験することが容易にできてしまいます(すごい!)。ここでは、七夕や夏のキャンプ、流星群の観察時はもちろん、日常的に読んでも楽しい星の絵本をご紹介します。
Contents
にしまきかやこ「ちいさな星の子と山ねこ」(こぐま社)
作者はにしまきかやこさん。「わたしのワンピース」で知ったという方も多いかもしれませんね。この絵本は、「月のかあさんには たくさんの 星の子どもが おりました」で始まる、ちいさな星の子の物語。
「ただのねこじゃあない。山ねこだ!」
にしまきかやこ「ちいさな星の子と山ねこ」(こぐま社)
といって、星の子に とびつきました。
星の子は ぴょーんと はねました。
そこで 山ねこも ぴょーんと はねました。
星の子は ぴょーん ぴょーんと にげて
山ねこは ぴょーん ぴょーんと おいかけました。
ある日の晩、そらから地球に向かって飛んできた星の子。星の子は、森のバッタや川の魚たちとすぐに打ち解け友達になりますが、やがて出会った山ねこの爪が星の子の緑色のマントを破ってしまいーー。少しぶっきらぼうにも思える山ねこと、幼く純真無垢な星の子の心温まる物語。天の川もちょっとだけですが登場しますよ♪
H・A・レイ「星座を見つけよう」(福音館書店)
「ひとまねこざる」(おさるのジョージ)でおなじみのH・A・レイ作の星の絵本。春夏秋冬の代表的な星座の解説や、星座にまつわる物語、天体観測のすすめなど、本格的な星についての知識を得ることができます。
季節によって移り変わる空の風景がまるでプラネタリウムのように描かれているので、まるで解説付きの星座盤を眺めているかのよう。幼児向けではないので、内容自体は少し難しいかもしれません。もし、少しでも星に興味が出てきたら本棚にそっと忍ばせておくと、ページをめくるだけでも子どもの知的好奇心を刺激してくれそうです。
エリック・カール「パパ、お月さまとって!」(偕成社)
モニカと”パパ”と”お月さま”の物語。「パパ、お月さまとって!」というモニカのお願い(むちゃ振り!)にパパが応えようとするのですが、月の満ち欠けによりせっかく持ってきたお月さまが、小さく、小さく、小さくなってしまいーー。
作者の代表作「はらぺこあおむし」のようにこの絵本もわくわくする仕掛けがちらほら。お話を聞くだけでなく、子どもが自分の指でページを開いたりめくったりしてより楽しめるのも魅力です。物語を通じて月の満ち欠けについて楽しく自然に学ぶことができるので、まだ小さい年齢のお子さんにもおすすめです!
ブルーノ・ムナーリ「闇の夜に」藤本和子 訳(河出書房新社)
本サイトでも何度か紹介したブルーノ・ムナーリの絵本。
▷モンテッソーリで推奨されるムナーリの「ムナリモビール」
▷ブナーリの絵本「木をかこう」レビュー
ムナーリの生誕110周年を記念して復刊された一冊です。ウェブ書店で「デザインの魔術師・ムナーリの代表作! 五感のすべてを使い楽しむ仕掛け満載の絵本」として紹介されているように、ムナーリの遊び心が詰まった仕掛けが満載。絵本としては少々値がはりますが、それもそのはず。物語の舞台が変わるごとに絵本の紙質も変わっていくんです。透け感のあるパラフィン紙、穴が穿たれたマット紙など、加工された紙が一冊にまとまることで、まるで洞穴や草むらの中を覗いているような不思議な読書体験ができますよ♪ ぜひ書店などで手に取ってみてくださいね!