・3次元の視覚を養う
・数学的思考を育てる
↑コレ、何だかご存知ですか? 積み木のように見えますね。ニキーチンの積み木にも似ていますが、色や形が異なるようです。
子の自主性を尊重しながら創造性を高める知育玩具として名高い、ニキーチンの積み木。彼の著書を読んでみると、モンテッソーリの教具を手作りする場面も出てきます。ニキーチンの積み木はどういうものなのでしょうか?ニキーチンという人物の名前は、あまり馴染みがないかもしれません。ニキーチン (1916-1999) は、ロシアの教育学者ですが、日本語版のwikipediaでもその名を見つけることはできません。詳しい人物像まで調べることができませんでしたが、彼の著書を扱う暮しの手帖社のページによると、妻と7人の子ども達を... 【Wikipediaにも載っていない!? 】 ニキーチンの積み木ってどんな知育玩具なの? - おうちdeモンテ |
実はこれ、モンテッソーリの教具のひとつ。赤、黒、青で色分けされた直方体が木箱に入っています。箱に収まるように積み重ねていくと、大きな立方体が完成するこの教具、
$$(a+b)^2$$
という数式を表したものなんです(iOS版Twitterからこのページを見ると数式の表示が崩れるようですスミマセン…!Safariからですときれいに表示されるようです)。数式が出てくると頭が拒否反応を起こしてしまうのですが(苦笑)、落ち着いて考えてみるとこれは立方体の体積を表す式でしたね!
例えば一辺が10cmの立方体の体積は、$10^3=1000cm^3$でした。
これを代数に置き換えたのが$(a+b)^3$です。展開すると以下のような式になります。
$$(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3$$
いやしかし、この数式とこの積み木がイコール関係にあるとはにわかには信じられません。というわけで、この教具がどういう仕組みになっているのか家にあるもので作ってみました♪
モンテッソーリの「二項式」の教具を自作してみた
用意したのは家にあった厚紙や折り紙。展開図を描いてはさみで切り取り、組み立てるという地味な作業をしていきます。
今回は「a」を3cm、「b」を2cmとし、作ってみました。まずは折り紙で作った$a^3$と$b^3$。
$a^3$は一辺の長さがaの立方体(写真左=赤)。
$b^3$は一辺の長さがbの立方体(写真右=青)です。
次に作ったのが、$3a^2b$と$3ab^2$。
$3a^2b$を図形で表すと、$a×a×b$の直方体が3個。
$3ab^2$を図形で表すと、$b×b×a$の直方体が3個できました。
すべて並べるとこんな感じ。
これを組み合わせて立方体になれば証明できそうです。
今回は木箱のかわりに、厚紙を組み立てて容れ物を作りました。
では順番に入れていってみましょう。
まずは$a^3$。赤い面が3面見えている状態です。
次に、この3つの面に接するように、$a^2b$の直方体3個を置いていきます。
次に、$ab^2$を3個並べて……
最後に$b^3$の立方体を置くと、立方体の完成! 写真を見てみると、立方体の一辺の長さはすべて$a+b$になっていますね。実際の長さを当てはめてみると、$(3+2)^3=5^3=125cm^3$。一辺が5cmの立方体の体積は$125cm^3$になり、つまり、立方体の体積は$(a+b)^3$で求められることが理解できました。
私は頭がかたくなってしまっているのでいちいち数式に置き換えて理解しましたが、子どもは積み木同士の色と形を合わせて積み上げることで、もっと異なるレベルで感覚的に立体というもの、さらには数式自体を把握できる教具なのだと思います。
モンテッソーリ「二項式」の使い方・提示方法
簡単に、提示方法を紹介します。
箱のフタをとり、ふたの表面に描かれている模様と中の立体の模様が同じであることを子どもと確認する。
→ひとつずつ立体を取り出す。
→立体を箱に入れて入れ方を示す。
→下段を入れたら、上段をその上に積んでいく。終わったらフタを模様を見比べる。
以上が提示。その後、子どもが自分で同じ作業を進めます。なお、今回作った紙の教具は当然ながら子どもが使うとすぐにぐしゃっと潰れてしまいますので実践には向きません(!)。が、私が積み上げて遊んでいると子も「やってみたい」と興味を持ったようだったので、お試しとして作ってみるのはアリかもしれません。数や形に興味がでてきたら、使ってみてくださいね!